Top > 写真と日記と胸のうち > 宝探し
2006,06,22, Thursday
私の最優先の仕事は去年しかけた積雪深観測用タワーの掘り出し。
*** [撮影:2005年6月7日] タワーの高さは約5m。15cm毎に,計32本の温度センサーが配してある。 2005年6月にこのタワーを設置した。 ランゲル山では1年間で7m前後の雪が積もる。そして積もった雪はほとんど融けない。 雪が積もって,温度センサーが雪に覆われると,1日の中での温度変化が急に小さくなる。 その変化から,いつどのセンサーが雪に覆われたかを調べようというアイデア。 ホントは5mよりももっと高いタワーを設置したかったのだけれど,あまり高いとタワーは不安定になる。 また,着雪で傾いて倒れるかも知れない。この高さが妥協点だった。 当然,7m前後の雪が積もるから,今年はタワーの場所はわからなくなる。 タワーのあるあたりの氷河は1年間で10m程度流れるから,周りの景色やGPSからどこにタワーをあるのか絞り込むのは難しい。 そこで雪崩埋没者捜索用のビーコンをタワーに取り付けておいた。 通常の電池では1年間持たないので,特別な増設バッテリーを取り付けた。 *** さて,ここまでが去年の話。 山頂カルデラの雪面には全くタワーの痕跡はなし。 やっぱり全部埋まっちゃったか。。。 今年は ■タワーが見つからなかったら,来た意味がない。 ■タワーが倒れてしまっていたら,来た意味がない。 ■タワーの底にあるデータロガーが掘り出せなければ来た意味がない。 ■データロガーを掘り出しても,きちんとデータが取れていなければ来た意味がない。 というプレッシャー。 それぞれについてはきっと大丈夫だという自信はあるのだけれど,全部大丈夫か?と問われると,ちょっと自信なし。 そしてもちろん,一つでも欠けていたらダメなのだ。 ドキドキの宝探しのはじまり。 1年前にスイッチを入れたビーコン,動いてくれているかなー。 GPSで大まかな見当をつけ,雪崩ビーコンの探索開始。 1分もしないうちに感あり! やった! 50cm四方のエリアまで表面で絞込んだ。 ためしに,やはり雪崩埋没者探索用のゾンデ棒で周囲をつついてみる。 ん? 約3m下で何か金属のようなものがあたった! どの方向に掘った雪を出すか打ち合わせ,AndyとFrankに孔掘りをはじめてもらった。 私は積雪断面観測。 [撮影:Dan Solie] 雪氷コアでは取りきれない,表面の柔らかな雪について密度を測ったり,サンプルを取ったり。 しばらくしてフィールドアシスタントの二人から出てきたよーとの声。 タワー,倒れていなかった! タワーのてっぺんは雪面から約1.5mの深さ。 1年間で約6.5m雪が積もった計算になる。思っていたより浅い。 何とかなる! 8m,7日間を孔掘りにみていたけれど,これなら5日間でいけるかな。 もし孔掘りを5日間で終えられたら,予定している仕事,全部出来る! もともと日程が不足気味な上,天気待ちで日数を食ってしまったので多分全部は終わらんだろうなーと思っていた。 勝負になることがわかり,ほっとした。 断面観測のため,しばし残業してから沈。 |
コメント
コメントする
|
この記事のトラックバックURL
http://polar.sakura.ne.jp/wrangell2006/tb.php?45
トラックバック
|