Danから夕方まで発電機使っていいよーとのお達し。
小雪が降る中,タワー根元のデータ記録装置(データロガー)回収のため孔掘りを再開。
今日で一気に片をつける!
Frankと二人で作業再開。
[写真:Dan Solie]
私がチェーンソーをふるって雪のブロックを切り出し,Frankが外へどんどんと運び出す。
やべっ。
チェーンソーに指を巻き込みかけて手袋の小指の先が飛んだ。
ブロックの切り出し時は通常のチェーンソーの使用と違って,斜面下から上へ,あるいは水平方向に切り込みを入れる。
効率的に切るために,チェーンソーの持ち手を逆さに握っていたため,通常は来ない位置に指が行ってしまったのだ。
一瞬,顔面蒼白。
が,何事もなかったかのように作業を続行。
***
ホントはここで作業を一度中止すべきだった。
今思えば,チェーンソーを使えるのは夕方まで,という時間制限で少しあせっていた。
さらに,高所でのハードな作業で身体はクタクタ。
思考能力も低下していたと思う。
他人に頼んだ仕事でヒヤリハット事例があったり,疲れが見えたりしたら絶対に作業止めるが,自分がやる分については引っ張ってしまう。
Safety Firstであるべき作業での失態だった。
もし本当にあそこで指を飛ばしていたら・・・多分,調査はそれで終わりにし,下山を考えたはず。
安全第一で守られるのは各人の安全だけではないのだ。
***
ブロックの運び出し,Andyも手伝ってくれた。
[写真:Dan Solie]
そして,ついに。
データロガーをいれた断熱箱が出てきた!
1年ぶりの再会。
電池は持ってくれただろうか。
まず,電池の電圧を測定。うん,大丈夫。
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実は電池の持ちが一番心配だった。
なぜならば,電池選びの基準となるデータロガーの消費電力の計算を業者にお願いしてしまったからだ。
さんざん,酷寒である環境を説明し,1年間の稼動のために十分な安全率をとるよう念押しはした。
だが,業者さんが電池を選んで持ってきてくれたとき,その計算内容をちゃんと確認していなかったのだ。
肝心な部分は人任せではなく必ず自分で確認すること。
もし自分できちんと確認していれば,無用に心配することはなかった。
***
一悶着はあったのだが,1年間データが取れていたことを確認,ノートパソコンにデータをダウンロードし,一安心。
よかった。
ふと思いたって自分の顔を写真に撮ってみた。
こけた頬。汚いひげ。日焼けでぼろぼろの肌。軽度の帯状発疹も出てる。
ひどい面だった。
Danも喜んでくれた。Danはこう言ってくれた。
「まずケガがなくてよかった。実はモリキンが作業中に疲れて見えたら作業を止めさせるよう,Frankに言っておいたんだ。ずいぶんと疲れがたまっているようだったから。」
Danは半人前の私をちゃんと見てくれていた。
・・・実はへとへとの中,作業を強行して指をチェーンソーで飛ばすところだった,とは告白出来なかった。
#ごめんなさい。下山後,このブログを書いている今も,まだ話していません。
多分,Frankも結構へとへとだったと思う。二人してただ黙々と作業を続けていた。
冗談の一つも出てこないのが疲れている証拠だったんだよなあ。
掘り出し終えた頃から雪と風が強まった。
吹雪の様相。
ちょうどよいタイミングだった。吹雪の前にロガーが回収出来て,よかった。
いくらシートで覆っても,吹雪が来たらある程度は掘った孔が埋められてしまうから。