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2006,06,28, Wednesday
ストームの翌朝の表面雪。 表面40cmの雪は大まかに3つの層から成っていた。 表面の層は新雪からしまり雪になりかけ。 以前からあった雪と,ストームで新たに降った雪がごちゃ混ぜになったような印象。 その下に,結晶の粒が大きい,光をよく通す層があった。 写真,一番下の層は上と比べてはっきり固い層。 アラスカ大フェアバンクス校のBenson教授のリクエストがあり,水の安定同位対比測定用のサンプルをとった。 Benson教授は一つのストームの中で降雪の同位対比がどのように変わるか,に興味がある。 今回のストームに限って言えば降雪は少なく,表面積雪のほとんどが風上方向の雪が地吹雪で舞い上がった後,堆積したものだ。 あまり良いサンプルではない。 これは山岳地域での研究の難しさだ。 さて,今日の私の仕事はそのBenson教授とDanが四半世紀近い昔,1982年に雪氷コアを掘削した地点で再びコアを掘ることだ。 Bensonさん等のサイトは私たちの最新の掘削地点よりも北西側に1.6km行ったところにある。 続き▽ |
2006,06,27, Tuesday
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2006,06,26, Monday
Danから夕方まで発電機使っていいよーとのお達し。
小雪が降る中,タワー根元のデータ記録装置(データロガー)回収のため孔掘りを再開。 今日で一気に片をつける! Frankと二人で作業再開。 [写真:Dan Solie] 私がチェーンソーをふるって雪のブロックを切り出し,Frankが外へどんどんと運び出す。 やべっ。 チェーンソーに指を巻き込みかけて手袋の小指の先が飛んだ。 ブロックの切り出し時は通常のチェーンソーの使用と違って,斜面下から上へ,あるいは水平方向に切り込みを入れる。 効率的に切るために,チェーンソーの持ち手を逆さに握っていたため,通常は来ない位置に指が行ってしまったのだ。 一瞬,顔面蒼白。 が,何事もなかったかのように作業を続行。 *** ホントはここで作業を一度中止すべきだった。 今思えば,チェーンソーを使えるのは夕方まで,という時間制限で少しあせっていた。 さらに,高所でのハードな作業で身体はクタクタ。 思考能力も低下していたと思う。 他人に頼んだ仕事でヒヤリハット事例があったり,疲れが見えたりしたら絶対に作業止めるが,自分がやる分については引っ張ってしまう。 Safety Firstであるべき作業での失態だった。 もし本当にあそこで指を飛ばしていたら・・・多分,調査はそれで終わりにし,下山を考えたはず。 安全第一で守られるのは各人の安全だけではないのだ。 *** ブロックの運び出し,Andyも手伝ってくれた。 [写真:Dan Solie] そして,ついに。 データロガーをいれた断熱箱が出てきた! 1年ぶりの再会。 電池は持ってくれただろうか。 まず,電池の電圧を測定。うん,大丈夫。 *** 実は電池の持ちが一番心配だった。 なぜならば,電池選びの基準となるデータロガーの消費電力の計算を業者にお願いしてしまったからだ。 さんざん,酷寒である環境を説明し,1年間の稼動のために十分な安全率をとるよう念押しはした。 だが,業者さんが電池を選んで持ってきてくれたとき,その計算内容をちゃんと確認していなかったのだ。 肝心な部分は人任せではなく必ず自分で確認すること。 もし自分できちんと確認していれば,無用に心配することはなかった。 *** 一悶着はあったのだが,1年間データが取れていたことを確認,ノートパソコンにデータをダウンロードし,一安心。 よかった。 ふと思いたって自分の顔を写真に撮ってみた。 こけた頬。汚いひげ。日焼けでぼろぼろの肌。軽度の帯状発疹も出てる。 ひどい面だった。 Danも喜んでくれた。Danはこう言ってくれた。 「まずケガがなくてよかった。実はモリキンが作業中に疲れて見えたら作業を止めさせるよう,Frankに言っておいたんだ。ずいぶんと疲れがたまっているようだったから。」 Danは半人前の私をちゃんと見てくれていた。 ・・・実はへとへとの中,作業を強行して指をチェーンソーで飛ばすところだった,とは告白出来なかった。 #ごめんなさい。下山後,このブログを書いている今も,まだ話していません。 多分,Frankも結構へとへとだったと思う。二人してただ黙々と作業を続けていた。 冗談の一つも出てこないのが疲れている証拠だったんだよなあ。 掘り出し終えた頃から雪と風が強まった。 吹雪の様相。 ちょうどよいタイミングだった。吹雪の前にロガーが回収出来て,よかった。 いくらシートで覆っても,吹雪が来たらある程度は掘った孔が埋められてしまうから。 |
2006,06,25, Sunday
朝から2本目の雪氷コア掘削に全力を注いだ。
Frankが相変わらず鬼のような働きっぷり。 良質なコアを,リクエスト通りの長さで掘り出してくれる。 しかも働き出したら休憩まで止まらない。 一回のコアリングでは出来るだけ長いコアを取った方が効率はよい。 けれども,コアの長さは輸送に使うクーラーボックスに収まる長さでなければならない。 Frankの数センチ単位の長さコントロールが素晴らしかった。 *** ふと掘削場から上を見上げると,屋根がけした木材とシートの隙間からハロが見えた。 #ハロについては天空博物館さんの解説が詳しい。 コアの掘削が終わった時点でFrankはお役御免。 夕食後の再作業を覚悟していたのだが,夕方,夕食の時間前に終わってしまった。 止まらないマシン,Frankのおかげだ。 夕食を作ってもらうようFrankに頼み,私は掘ったコアの整理。 そして,夕食の時間。 Frank製,なんちゃらチキンスペシャル。 感嘆ものの旨さだった。 我々に遅れること2時間,ようやく仕事を切り上げてきたDanも感激。 冷え切った身体には肉がうれしい。 中から身体があったまる。 |